沼というものは予期せぬところにしか現れない。2
嵐という言葉を聞いて、思い浮かべるのは天候よりもアイドルだろう。
もはや知らない人などほとんどいないのでは?特別興味がなくてもメンバーの名前言えたりする人だって相当数いるだろう、ってくらいの、国民的アイドルと称されるくらいの存在だ。
ジャニーズの中だと割と嵐好きかも、なんて言葉はよく聞く。かくいう私もそんな一人だった。ドラマを見たり、冠番組を見たり、アルバムたまにレンタルしたり、その程度。
好きだけど、ファンになってるってほどじゃない、っていうものすごーくゆるい感じに追いかける日々を何年も続けていた。だからまさか、私が本格的に「嵐にハマる」日がくるなんて、思ってもいなかった。
嵐のデビューした頃話題になってたことも覚えてる、2000年代前半にドラマの主演をそれぞれがやってたことも知ってる。でも、私が好きになったのはおそらく2006~2007年頃からだ。ドラマ好きな私がグループに興味を持ったのは「花より男子」で、好きになったきっかけは「山田太郎ものがたり」が原因だった。それからもう軽く8,9年くらい経っているわけで。でもその間私はずっと「割と好き」なままい続けた。ドラマ出演があれば見たし、冠番組があればチェックしたり、音楽番組に出ると知ったらみたいと思う。アルバムが出たら借りてみたり。
といえば、かなりハマってそうに見えるけれど、どれも「出来たら」「タイミングが合ったら」だ。見れないから録画しようとか、CDを買おうとかまではしていなかった。だからファン、ではなかった。
そんな私の変わった1つ目のきっかけは、2013年。
なんと偶然のおかげでその年の嵐のコンサートに参加することができたのである。割と好きだ、なんて思ってたアイドルのコンサートになんか行ってしまったら、それはもう転げ落ちるしかないのだ。現にコンサートに行った当初、夢心地だったし、その後数日はひたすらアルバムを聞いていた。でも、だ。意外なことに「割と好き」が「結構好き」に変わっただけだったように思える。
ただ、その結構好き、が少しずつ大きくなっていった、のだろう。今思えば。
翌年2014年の「弱くても勝てます」というドラマ、主演は二宮和也。
山田太郎ものがたりから嵐を好きになった私にとって、自担というべき存在は彼である。生徒役に好きな俳優さんが名を連ねており、これは見るしかないだろう、と。
2014年はじわじわと今まで聴いていなかった曲にも手を出し始めていた頃だ。ありがたいことに割と身近に嵐好きな子がいて、その子にCDを借りたりして。
確実に好きが加速していた。
まぁでもやっぱり去年の私も「ファン」ではなかった。
正直長年割と好きだったのだ、ドツボにハマるきっかけなんていくらでもあったはずなのに(それこそコンサートにいったときなんて最たるだろう)、そこをスルー出来ていたのだ。なのに、どうしてこんなことになったのだろう。
2つ目のきっかけ、それは友人のカミングアウトだろう。私の音楽プレーヤーに嵐の曲があることを知った彼女が、「私嵐はまったんだ」と言い出した。
彼女と私の共通点は、「オタク」であることだった。好きな作品はまったくかぶっていなかったが。だからまさか、彼女が急に三次元アイドルにハマるとは、なんて仰天するしかあるまい。
が、日常的に一緒にいることが多い友人と「共通項」ができた。元々私は、ファンまではないけれど「割と好き」だったのだ、そりゃ好きなことついて話せるなら話したい。
彼女との日常会話に、次第に嵐の話が増えていった。
よく、女性は共感を求めるなんて話を聞くが、まさにその通りだったんだろう、私は。
話せる相手がいることで、「好き」がどんどん高まっていった。そうすると、それまで「タイミング合えば」だった冠番組を見るという行為が、録画してでもみようとする、になっていった。
3つにして最大のきっかけ、それは「MUSIC DAY」である。11時間にも及ぶ番組を櫻井翔が司会をし、嵐にしやがれのコラボ企画があるというだけでほぼ全てリアルタイムで視聴し、最後の出番にきゃーきゃー騒いだ自分は、もう相当ハマってるな、とようやく確実に認めた。
元々オタク気質の強い私は、ここまで好きだのなんだの騒いでおきながら、一円も嵐にお金を出していない自分に納得できなくなっててきたのだ。
そして今から入れば今年のツアーの申し込みに間に合うと知った私は、「そうだファンクラブに入ろう」と思い立った。
それ以降も友人との日々会話していくうちに、好きはいつまでも加速し続けて。
日々情報をチェックし、テレビを見て、雑誌を買って、ついにはジャニーズショップにまで行き。
完全にジャニオタになってしまったわけである。沼に落ちる、ってのはある日突然初めてであったものにハマるってことだと思っていたのに。
まさか、元々好きだったものに、急激に落ちていくなんて。
後ちょうど一週間でコンサートに行けるということに衝撃をうけながら、とりあえずこの一週間はアルバムをひたすら聴こうと思っている。