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テニスと芝居とアイドルと

遍在するなにわ男子

Jr.にハマるには適性がいると思っていた。

自分の性格上、推しがデビューできないままフェードアウトしたり、推しユニットが解体されたりしたら絶対に凹むし長いこと引きずるだろうことはわかり切っている。ちなみにこれは経験則だ。だから、自分は確実にJr.担は向いてないし、絶対ハマらないと決意していた。

 

幸いにして、という言い方はあれだが、嵐ファンである私は、特にJr.界隈に触れることなくジャニオタがしやすい環境にあった。嵐のドームコンサートを見に行って、グループ名だけならともかく、Jr.個人個人の顔と名前を一致させて認識するっていうのは結構難易度が高い。彼らに縁のある後輩君のことを語るのを聞いても、その彼の顔を覚えるまでには至らない。

そんな私のJr.に関する知識は、辛うじてグループ名はいくつか知っている程度で、何人組で、誰が所属して、みたいなことは全くと言っていいほど理解していなかったし、個人個人に関しては、そういや名前は聞いたことあるようなないような、って子がほんの数名いるくらい。顔も名前も分かる子なんて本当にいなかった。

そんな私にとって、例外は2人だけ。西畑大吾くんと道枝駿佑くんだ。

 

私はドラマが好きだ。民放の1クールドラマは、21時~23時台のものなら大体見ているし、朝ドラは、23時~再放送があっていた時期のものは何作か完走している。

ごちそうさん」「あさが来た」はその完走した朝ドラの内の2つで、どちらも結構ハマって見ていた。西畑くんはそこで知って、まさか朝ドラでJr.が2回も出演するなんて思ってもないし、しかもかなり演技が上手い。ジャニーズなんだ!?と驚いたのもあり、顔と名前はばっちり覚えた。

そして西畑くんが噂に聞く二宮教信者の子だと知り、その後映画やCMで二宮さんと共演ときたら、そりゃもう二宮担の私は覚えざるをえないし、好感度もかーなり上がる。

道枝くんは「母になる」で知った。すっごい顔の綺麗な子だな……と思ってめちゃくちゃ印象が強かった。そして嵐担の私は当然相葉さん潤くんも出るしってことで、未満都市SPを見る。そこには見覚えのある子が。あれだけ顔がきれいで名前に特徴のある子、時間を置かず立て続けにみたら忘れるわけもない。しかも関西Jr.だっていうじゃないですか。標準語の芝居しか見てないんだからびっくりした記憶、めちゃくちゃ残っている。

 

2018年10月6日。TLに流れてきた「なにわ男子結成」の報。Jr.知識が全くない私にとっての、例外中の例外2人が同じグループになるというのだから、流石にちょっと興味はそそられる。「なにわ男子」というグループ名と、そこに2人がいることは、しっかり頭に残った。まあそれですぐグループを推します!とはなれなかった。Jr.担になるのは無理って思っていたし、そもそも1人や2人気になる程度でそんなすぐにハマりにいけるほどフットワーク軽くはいけなかった。まあだから、何かで見かけたら応援したいなー、くらいでとどまるつもりだった。

 

なにわ男子結成から年が明けて2019年。

私は、自分の考えの甘さをいやというほど知らされる羽目になる。

 

二次オタ兼ボカロ世代な私は、バーチャルジャニーズプロジェクトから、藤原くんと大橋くんの名前を知った。興味本位であすかなのアカウントをフォローしてみた。

そして舞台好きの私は、楽曲製作陣経由で舞台の「リューン」を知り、あすかなの中の人達は、そこで主演をやった子達だと知って驚く。

なにわ男子の中に顔と名前と声を知ってる子が2人増えた。

当時なにわ男子が何人構成かもうろ覚えだったけれど、あっという間に過半数認識していることになる。Jr.にまったく興味のなかった私が、である。 

ドラマ好きの私は春ドラマを一通りチェックする。すると「俺のスカート、どこ行った?」というめちゃくちゃ面白そうなドラマがあった。そこには、道枝くんだけでなく、長尾くんも主要生徒に名を連ねていた。これで5人目。

さて、もはやジャニオタ夏の風物詩である24時間テレビ。本年のメインパーソナリティは嵐5人。当然嵐ファンの私は情報を追うしできる限りリアタイしよう!となる。

毎度恒例SPドラマの主演が相葉さんで、その学生時代を高橋くんがやります。

これで6人目である。

更には関西地区のサポーターに、「なにわ男子」がなります、ときた。

そこで、なにわ男子が7人組で、知らず知らずのうちに私は6/7の顔と名前が完全一致していることに気づいた。

そして私的に最後の1人であると思っていた大西くん。後から発覚したけど「スターマン」で見ていた子だった。マジか。それを知った時は流石にひっくり返るかと思った。

 

一つ断っておくが、私は決してなにわ男子興味ある!気になる!って自分から首を突っ込んでいったことはない。まったく能動的な情報収集なんてしてないのに、あらゆる界隈から、無視できないレベルで情報が(それもめちゃくちゃ興味をそそる形で!)やってくるのである。

全国版のドラマで知る機会のあった西畑くん、道枝くん、長尾くん、高橋くん、大西くん。

地方公演もある舞台をやっていた、藤原くん、大橋くん。

全員が全国区の外部仕事で芝居経験のあるのに、これがまだデビューしていないグループって、何?

 

これまで私、自分をジャニオタだと思ってなかったんですよ。嵐ファンだから広義ではジャニオタになると思うけど、他のデビュー組お茶の間レベルでしか知らないしなぁ、って。各グループ、この中ならこの人が好きかな!はいる。けどそれは「前見たドラマの芝居から良いなって思って好感を持った」って理由なんですよ、毎回。バラエティやパフォーマンスで落ちるルートもあるんだろうけど、私の場合ジャニーズの誰かを好きになるのは、圧倒的に芝居からってルートが一番だった。で、たいていの場合、グループに1人か2人くらいそういう人がいる程度。けれど、そこから完全にグループに沼落ちする決定打に出会うことなく、お茶の間で終わることばかりだった。

 

なのに、なにわ男子の場合、1人2人どころの話じゃなかった。(あすかなを含めると)私は全員のお芝居を見た事になる。しかもそのほとんどを「なにわ男子」を認識してから立て続けに、だ。これで、グループ気にならない方が無理じゃんこんなの。

朝ドラ、民放ドラマ、外部舞台、新境地のバーチャルジャニーズプロジェクト、24時間テレビでの地方サポーターにSPドラマ、とその入り口が多方面に同時期に存在した。

えっあれも?これも?この子もなにわ男子!?あれ!?みたいな。

 

そんな状態までおちいった私のもとに、地元でなにわ男子の単独コンサートがあるらしい、という情報がやってきた。行きたいという誘惑にはもう抗えなかったし(本当にありがたいことに身近なJr.担のおかげで参加できました)、ハマるハマらない以前になんかもうめちゃくちゃ囲まれて逃げ道がなかった。何が怖いってこの間、別に誰かからごり押しされたわけでも、布教で囲い込まれたわけでもない。彼らの個々の活躍が目覚ましすぎて、私がもう気にならざるを得ないところまで来てしまっていたのだ。

 

そうしてグループに目を向けた途端、彼らの魅力が牙をむく。

知識がないなりにぼんやりJr.に持っていたイメージの全部が、がらっがらと崩れた。

Jr.ってまだ原石的な顔の良さというか、まだちょっと垢抜けないけど、よく見たら顔は整ってる、みたいな。トークもまだ初々しくて、たどたどしい感じというか。

そんなイメージをもっていた私は、めちゃくちゃ衝撃を受ける。

なにわ男子、めっちゃ顔がいい。

ていうかもう皆垢抜けてるじゃん。ビジュアルだけ見たらデビューして2,3年は経ってるでしょってくらい、顔が出来上がってる。

西畑くん、トーク慣れっていうかMC慣れ、すごくない?

他の子もトークでの自分の個性、すでに発揮してないか???

えっ、もうこんな安定して喋れるの???

Jr.なめてた。甘く見てた。こんなにすでに外向けの武器持ってるの?マジ?

 

顔がよくってトークがうまい。既になにわ男子にだいぶ興味を持っている自覚はあるが、アイドルの本業は歌って踊るパフォーマンスだ。

……えっ、曲めっちゃ“良”じゃん。

これが?全部未音源化????なんで??????(Jr.だからです) 

デビュー組のタイアップ曲レベルの楽曲じゃん。これが主題歌のドラマないの?CMも?嘘だよ私多分聞いたよ???(※幻覚)

ていうか皆声いいな!?個性バラバラの、それぞれ甘くて素敵な歌声が合わさって心地よいキラッキラのユニゾンになる。音域、声の高低差のバランスも私が聞き心地よくて好きな塩梅。……私、この歌声の編成、めっちゃ好きなやつだ。

くるくる入れ替わるフォーメーショもめちゃくちゃ楽しいし一緒に踊りたくなる楽曲固有の振付もめっちゃいい!!

そして表情の作りこみもめっちゃいいな???振りに混ぜるオリジナリティも、自分の良さ分かってやってるじゃん……凄いな……。

そうだよね芝居のできる子多いってつまり表現力高くて自分の魅せ方分かってるってことだよな!!

それぞれ個性が強いのに合わさった時の最高のグループとしての一体感。

誰と誰が組んでもしっくりくる調和感。

魅せ方がうまくて表現力が高い。

楽曲によってメインが変わることによる幅の広さ。

……私の好きなパフォーマンスのパターンそのものじゃん……。

 

顔がいい。

トーク面白い。

楽曲がいい。

パフォーマンスが好き。

ドラマで誰かを知って→バラエティでグループを認識して→本業のパフォーマンスで落ちる。これってデビュー組の典型的なハマり方じゃないんですかね、普通。

 

こんな具合に、もうだいぶ沼落ちする条件はそろってた。

そんな私の最後の決め手は、やっぱり西畑くんでした。

 

2019年11月3日。デビュー20周年を迎え、21年目に突入する嵐が、デジタルに乗り込んでいくこと、2020年を単なるラストイヤーにしないことを会見で発表した。

その日のことを、西畑くんがジャニーズwebのブログで触れてくれた。

嵐のファンとして、そして嵐の後輩としての彼の言葉。

「嵐がいかに凄いのか」を語ったその口で、彼が続けたのは「嵐のようになりたい」でも「嵐を超えたい」でもなかった。

「なにわ男子にしか出せないアイドルを追求する」と言い切ったのだ。

その一言が、そりゃもうめっちゃくちゃに刺さった。雷に打たれるような衝撃とはこのことかと思った。アイドルとしての在り方、考え方が好きだと思った。これが決定打。

私は、その思考を好きだと思った瞬間が、いつだって完全な沼落ちの瞬間なのだ。

 

私のジャニーズの基準は今の嵐だ。嵐が理想のグループアイドルのロールモデルになってしまっている。だからこそ、他のグループにも手を広げようって、あんまりできなかった。多分どこかで嵐と比較してしまう、そんなのは嵐にも他のグループにも失礼だ、と思っていたから。

 

関東と関西。5人と7人。年の差の少ないと大きい。デビュー20年選手と、結成2年のJr.。

嵐となにわ男子の違いは沢山ある。

でも、なにわ男子はめちゃくちゃ嵐の曲が似合う関西初の王道アイドルだ。

嵐と違う部分、重なる部分。いろいろある。

嵐を好きになった要素や流れと似た現象で私はなにわ男子に興味を持ち始めたし、多分、嵐を好きになって気づいた「私はこういうグループが好き」「こういうアイドルが好き」に、なにわ男子がいくつも当てはまったから、好きになったんだろうな、とは思う。

けれど、他でもない、嵐を、二宮さんを尊敬し、ファンだという西畑くんが「なにわ男子はなにわ男子」という意識で、自分達だけのアイドルを追求していくと言っているのだ。

その言葉があったから、私は「彼らが嵐に似ていても、違ってもいい」「なにわ男子にしか見せられないものを、彼らが見せてくれるんだ」って思えた。2つのグループに優劣をつけることなく、嵐を好きな私となにわ男子を応援したい私が、矛盾することなく共存できる。そう思えたのは、その西畑くんの言葉があったから。

 

前から他グループと掛け持ちなんて無理だな、Jr.担になることだって絶対ないとずっと思っていた。2021年以降だって嵐のファンを降りるつもりなんて全くないから、他グループに降りるなんて考えようとしたこともない。嵐の代わりなんて、ない。

そんな私が、嵐を好きな気持ちを変えることなく、減らすことなく、他のジャニーズにはまることができるなんて思ってもみなかったなぁ。

なにわ男子は、そんな私の中にあった壁を全部綺麗にぶっ壊してくれた。

もうこうなったら、本腰入れてちゃんと応援するっきゃないなと。

全員が口をそろえて「デビューがゴールじゃない、スタートだ」という彼らの駆けていく先を応援したい。見たことのない景色を見てみたい。

 

彼らに興味を持ってから、一年は経った。

結果、私は去年興味を持ち始めたころよりもずっと、なにわ男子のこと好きだな、と思っている。これはもう、一過性じゃなく完全にハマってる。

とりあえず今は、メンズ校がとにかく楽しみでしかたない。全員の芝居が1クール見られるなんて、こんな贅沢ある!?

 

私は、これまでの歩みを見てこれなかった途中乗車のド新参者ですが。

彼らが掲げるスタートに立てるその日を、心から信じて願っています。そしてスタートからその先の未来も、ずっと応援したいなぁ。