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テニスと芝居とアイドルと

二輪咲きは新たな絶望を残してゆきました

LILIUM感謝祭のDVDをようやく見ましたので、その感想をば。

以下LILIUM、LILIUM感謝祭(二輪咲き)の他、TRUMP(Dステ版)、SPECTERに関する事項も含まれますので、ネタバレ注意です。

 

 

さて、リリウム感謝祭、円盤化するかわからない…と言われていたので、思わずレポ等々をあさっていたため大まかな構成と二輪咲きの展開は知っていたわけです。その時点でも結構ショック大きかったんですけど。改めてこの構成は鬼だな、と。

一部:新作短編の二輪咲き

二部:トークショー

三部:リリウム劇中曲ライブ

 

一部の二輪咲きを見たあとだと、そのあとのライブパートがただのライブじゃなくなる。

劇中曲を"ほとんど"(ここ重要)作中の流れ通りに行われるわけですが、二輪咲きを踏まえて、(さらに言うなら、リリウム後上演されたSPECTERも踏まえて)リリウムのストーリーを追うことができる、

それも一部新規セリフが追加されることによって、リリウムの再現ではなくその先すら描かれているライブパート。

これはもはや、加筆修正された再演に近い位置づけではないか、と思うわけです。そんなもの見せられたらそりゃもう、無理でしょ(唐突に語彙力のなくなるオタク)

 

さて二輪咲きの感想。

まず今回キーになる新キャラクターは2人。リコリスとピーアニー。

リコリスは、ストーリーを読み解く上で、というよりもキャラクターを読み解く上で重要なキャラクター、ピーアニーはストーリーを読み解く上で重要なキャラクターです。

 

ここではピーアニーについて。

本編では、真相に近づいた結果命を落とし、皆の記憶から消えてしまったシルベチカがいましたね。そして、ファルスに近しい存在になりかけていた、リリー、スノウ。

そんな彼女たちに類似するポジションを本作で担うのが、ピーアニー。

本編でスノウを刺そうとしたファルスが、けれど刺せなかったというシーン。あの背景には、ピーアニーの存在がある。

ピーアニーは、適合者(ファルスと同じ不老不死になりうる存在)に選ばれた。ファルスはそれを確かめるべく彼女を刺す。しかし彼女はそのまま死んでしまった。彼女はファルスの実験において、初の適合者となりうるもの、だったのかな?あるいは今までの中で一番成功に近い出来だった。だからこそ彼は迷いなく刺した。

結果は、失敗だった。だからこそ、もし成功だと思ったものがまた死んでしまえば僕は一人だ、と。彼はスノウを刺せなかった。

ピーアニーの存在は、リリウム軸でのファルスの行動の理由、スノウがいつごろからファルスと共犯的関係になったかのちょっとしたヒントにもなっている。

 

こっからはファルスの話。

ピーアニーの時にファルス…いや、ソフィは。

「ピーアニーはウルにはなれなかった」と言った。彼が求めているのは、永遠に枯れない花=自分と同じ永久を生きる存在じゃなかった。あの日失った唯一の友、ウルただ1人。永遠を望み命を落とした彼の変わりを、彼(の望みを叶えうるもの)をただ求めていたのだ。自分の血からなる薬をウルと名付け、ウルを作ろうと。

そして、ファルスはイニシアチブの効力が薄れてきた≒不老不死に近くなったものを

「僕になろうとしている」と表現する。

TRUMP軸から永い時を経てなおウルをここまで思う彼に、ウルの最期の「生まれ変わったら、僕は君になりたいな」の言葉が残っていないわけがないんじゃないか、って。 

「ぼくはTRUEじゃない」と激昴するファルス。真(トゥルー)ではない、偽り(ファルス)を名乗る彼は、あれだけ憎んだTRUMP―クラウスと同じことをしている。
私はこの点において、LILIUM軸のソフィは、TRUMP軸から長い時を経て変わってしまい、ファルスになってしまったのだと思っていた。
しかし二輪咲きのファルスは、ウルへのこだわりや、星に手を伸ばすあのシーンから、ソフィとファルスの間のゆらぎのように感じられた。LILIUMのとき思ったように、2者が乖離したものではなく、ソフィであり、ファルスだったと思えた。

 

そして、ライブパート。
まず初めに、まるであのLILIUM軸を回想するかのようなファルスのセリフ、序盤のキャストパレードとしてあった「Eli, Eli, Lema Sabachthani?」をラストに持ってくる。
ここが、曲順として本編と大きな変更のあった箇所。
そしてそこから、本編にはなかった話。ライブパート冒頭と同じ軸で、夢か現か、ファルスはリリーと再会する。
あの瞬間、ファルスは知るはずだ。リリーが永遠に枯れない花になった、あるいは最もそれに近い存在に既になっていることを。

奇しくも父:クラナッハが最初で最後に、生まれたばかりのソフィに願った「リリー(百合)のような永遠に枯れない花を作ってくれ(意訳)」を、リリーという少女を自らと同じ永遠に生きる吸血鬼と化してしまうことによって、叶えてしまったソフィ。
そして、ソフィとリリーという名の繋がりは、初代の臥萬里(本名:ソフィ)とその妻リリーからも繋がってゆく。
しかも語られなかったからわからないけれど、可能性としては「ノーム(TRUMP軸のガ・バンリ)」が初代萬里が息子だった可能性もあるからな…、輪廻のウロボロス…。
繭期シリーズを一通り見たあとにLILIUMの劇中歌の歌詞を考えると刺さる歌詞多すぎてしんどい…しんどい……。

ところでアンジュルムと娘。メンのリリウム出てなかった組を感謝祭に組み込む都合上リリウムに登場しなかった新キャラが出てきてたわけですけど。
彼女たちはリリウム軸の時にはモブとして存在してたのか、既に亡くなっていたのかって考え始めるとまた鬱ですねこれ。

長くなったのでここできります。リコリスについては次回。